高校2年生の時にラップに興味を持ったキッカケが『Grateful Days feat.Aco,Zeebra / Dragon Ash』という曲。
特にその曲中の「俺は東京生まれHIPHOP育ち、悪そうな奴はだいたい友達~」というZeebraさんのフレーズだった。
高校の部活の帰りに父の車のラジオから突然そのフレーズは流れた。
チャンネルを変えようとした父を静止させて、聴き入った。
その時は、誰の何という曲かイマイチわからなかった。
その週の週末、CDTVのランキング上位にその曲がランクインしていた。
僕は思わず身を乗り出した事を覚えている。
今まで自分が聴いてきた日本の音楽にないものを感じ、まるで同じ日本なのにあまりにも自分とかけ離れている。
自分の正反対にいる人達だと。
圧倒的な自由な表現にとても衝撃を受けた。
ただただ羨ましかった。
夢のまた夢だった。
翌週くらいから学校の不良達がZeebraさんのフレーズを真似て口ずさんでいた。
僕は目を合わせない様にしながらただ聴き入っていた。
今すぐ何かを始める勇気はないけれど、いつか、この田舎町を出て東京でラップやろう。
そう思った。
18年後のある日。
渋谷のR Loungeというクラブのオーガナイザーでもあり、昔一緒にレーベルを運営していたミルクティー君(以下、ミルクッティ)から渋谷に呼び出された。
輪入道君のラジオ生収録を見学した後に居酒屋へ向かった。

ミルクッティ
「今度、僕、Zeebraさんをイベントにスペシャルゲストで呼びます!」
僕
「Zeebraさんって、あのZeebraさん?」
ミルクッティ
「そう!あんたがラップを始めたキッカケだと言っていたあのZeebraさんです!」
僕
「」
ミルクッティ
「タイムテーブルも組みました!なんとZeebraさんの直前にあんたです!嫌でもあんたのライブ見てくれますよ!」
僕
「いつから僕の事をあんたって呼ぶようになったの?てか、そもそもそのイベント僕出るとか知らないけど、えっZeebraさんの直前にライブ!まじで!」
情報量が多過ぎてキャパシティーがおちょこの裏くらいしかない僕は状況を把握するのに小一時間かかった。
昔、何度もミルクッティとの飲みの席でいつかこんな日が来たらみたいな話をしていた。
昔、ある方に「ノーギャラクソMC」と言われた事があった。
その時に僕がヘラヘラしていたら、ミルクッティは僕の代わりに本気で怒ってくれていた。
「この人はノーギャラクソMCじゃない!」って。
嬉しかった。
でも、翌週、僕の事を平気で「ノーギャラクソMC」と呼んでいたあのミルクッティが最高の舞台を用意してくれた。
気付くとワンカップさんと輪入道君も居酒屋に来ていた。
僕はミルクッティに何か恩返しがしたかった。
そうだ。
オリジナルドリンクを考案しよう。
その場にいた3人で一生懸命『こんなのあったらいいな』を考えた。

つづく