何もない所から武器を作る方法50

4月からWEBの学校に通い始めていた。

 

昼は学校で夜は音楽活動という生活がここから1年間続いた。

 

この1年は得たものと失ったものが明確に見えた時期だった。

 

『32才学生ラッパー』、とても自慢できる肩書きではない。

でも、このWEBの勉強は長い目で見ていつか必ず役に立つと、そう信じていた。

 

実際にWEBデザインやマーケティングはすぐにレーベル運営の面などで役に立った。

 

5月を迎え9枚目のアルバム『ネオニート』がリリースされた。

このタイミングで学校のクラスメイトにも自分がラッパーである事を打ち明けた。

特にこれと言って何も起きなかったが、音楽関係でもない、会社関係でもない、クラスメイトはなんか不思議と何でも話せた。

時には皆でライブに来てくれたりもした。

 

そして、時間が今までよりもたくさんあったのでアルバムリリースペースを早めた。

年内にもう1枚アルバムをリリースするプランを立てた。

学生である今しか作れないアルバムを出そうと。

 

次で10枚目のアルバムになるわけだが、ここまでリリースすると流石に自分のCDがどのくらい売れるのか何となく統計が取れてくる。

 

流通会社の方は今までに前例のない特殊な売れ方をしていると言っていた。

 

「たくさん売れる事も無ければ、全然売れない事も無い。毎月、必ずある一定数が売れ続ける。誰かが同じCDを毎月購入している様な売れ方。」

 

これを聞いて、自分のやり方は間違ってはいないと思った。

 

鍵は発信し続ける『継続』だった。

 

ニューアルバムをリリースする度に引っ張られる様に過去のアルバム達の売り上げも伸びる。

それを続けて行けば良い。

 

例えば、僕の1枚のアルバム売り上げ枚数が1000枚だとする。

有名なアーティストの1枚のアルバム売り上げ枚数が10倍の10000枚だとする。

 

その結果は仕方がない。

 

でも、売り上げ枚数で有名アーティストと並ぶ事の出来る手段がある。

 

僕が1000枚売れるアルバムを10枚リリースする事だ。

トータル売り上げ数で勝負する。

 

そんな高回転の継続こそが僕のやり方だった。

 

ただ、『誰かが同じCDを毎月購入している様な売れ方。』、この誰かがもしかして実家の家族だったらどうしようとは思った。

帰省した際に、家中探してみたが何と1枚も僕のCDが出てこなかった。

それはそれでショックだった。

 

次のアルバムにも客演を。

前作、前々作を見ていて、やはりアルバムに別ジャンルの客演を招く方法は正解だった。

だから、次回作も客演を考えていた。

 

1人目は2012年のサマソニで一緒だったシンガーソングライターのhealahちゃんだ。