雨でも晴れでもいいけど、ここは曇りでいい。
初出勤の日は何度味わっても緊張する。
僕は転職が多い方だがこれはいつまで経っても慣れないもので全く知らない職場ではないのにも関わらずライブよりも緊張する。
そして、憂鬱だ。
新宿に向かっている時に何度も「これで本当によかったのか」とこの後に及んで自問自答までする始末だ。
朝の甲州街道をサラリーマンの方々と歩幅を合わせ歩いていると目を瞑っても会社に到着してしまいそうな不思議な一体感を感じる。
空港によくある歩く歩道的な。
いや、動く歩道か。
ビジネスバッグは新しく買いたかったが良いものが見つからず、結局お正月に祖父からもらったトートバッグを採用した。
職場は異動などもあり2年前とは変わっていたが、わずかながら僕を知るかつての同僚もいた。
「あれ?戻って来たの?音楽じゃだめだったのか!」
なんて、からかわれながら仕事を教えてもらいはじめた。
そこには余裕がないシラフのフジタ課長の姿もあった。
この2年間で書類などが紙ベースからデータベースへと電子化されていることに気付いた。
そのことを誰かとの会話のネタにしたかったが、まだ僕にはその勇気はなかった。
そもそも誰に話せばいいのかもわからなかった。
いや、まだ初日の朝だから今日は会社に来れただけで良しとしよう。
そうこうしているうちにあっという間に一週間が経ち、二週間が過ぎていく。
歳を重ねると時間の感じ方が早くなると言う。
一説には、色々な経験を重ねた分、物事に対しての新鮮さや感動が薄れて、どんな景色も何気ない日常に見えるからだとか何とか。本当かどうかはわからない。
僕は持論だけれど、週末に飲み会などに行くと飲み過ぎて断片的にしか記憶がなくなり、翌日は二日酔いで一日中ゴロゴロしていて、気付くと月曜日の朝が訪れることを繰り返しているうちにあっという間にもう春手前なんてことがざらにあるので、お酒が深く関わっている気がしている。
つづく

