作った武器を抱えていく5

東京の桜は早く散る。

2017年4月

渋谷ヒカリエで華道家の片桐さんと異業種コラボレーションライブを行った。
こういった異業種で何か1つの作品を作ると多角的に自分を見ることが出来て勉強にもなる。
片桐さんがステージに花を生けて華をもたらし、僕は華では表現しきれないことを言葉として伝える。
(僕に華がないとは言ってない)

卒業式サプライズライブもそうだけどオファーを受けた時は戸惑いや不安がある。
自分で大丈夫なのかというのと、その時点では求められている理想の完成形がイメージ出来ないからだ。
どうしてもやってみないと本当のところはわからないのだ。
机上でいくら不安を募らせても、今まで「やらなくてよかった」と心の底から思えたことがない。
怖気づくくらいならやってみてから考えたらいいと思うのです。
完璧を目指して途中で諦めるよりも、やってみて自分の中で完璧を見出せばいいと思う。

片桐さんとはこのヒカリエをきっかけに、福島県や広島県でのコラボレーションライブもご一緒させていただいた。
普通に生活していたら見れなかった景色をたくさん見れたし、陶芸家の方など様々なジャンルの方を紹介していただいた。

僕は音楽を武器にしたい。
でも、使い方1つで、別々の人生を歩んできた者同士を繋げる役割を果たす。
それは、とてもすごいことだと思う。

この頃から他業種の方々と出会う機会が増えていった。
それは自分の中にあった固定観念のような壁を1つ壊した結果だとも思う。

今では当たり前になったことも、最初に始めた誰かがいる。
その人は、誰も挑戦しなかった場所へ足を踏み入れる勇気を持っていたのだと思う。
フグを最初に食べた人など今自分の身の回りにある全ては誰かの勇気ある挑戦のうえに成り立っていると思う。

そんな志を持った人が音楽の枠の外にもたくさんいることはワクワクするし、自分も勇気をもらえる。

いつか、自分のやって来たことが何かジャンルのスタンダードとなり、また先の誰かに勇気を与えられたら、なんて渋谷の桜は散ったけれど、ヒカリエの室内に咲いた花を見ながら思った。

音楽で成し遂げたかった夢は、全て叶ったけれど、ここからは行けるところまで行ってみようと。
行くつく先の目標ならうっすらとあった。
それは、毎年年末に実家に帰ると「あれ?今年も紅白歌合戦出ないのかい?」と本気で残念そうな顔をする祖父母に「また来年まで持ち越しだから」と答えていた。
僕が本当に紅白歌合戦に出たら祖父母は一体どんな顔をするのか、ただその一瞬を見てみたいな。


つづく