何もない所から武器を作る方法37

新しい職場で1年が経つ頃に僕は31才のリアルを作った。

この職場ではわりと早い段階で音楽をやっている事を全面に出したが、それ所じゃないくらい忙しかった。

僕のプライベートなんて誰も興味がないのだ。

普通はそうだ。

3ヶ月更新の派遣社員だし。

 

仕事を教えてくれる人もいないくらい忙しかった。

わけのわからないまま終電まで残業の日々。

ただ仕事の本質はあまり見えていなかった。

やりながら覚えるしかなかった。

 

「チューチュートレインの一番後ろでしゃがんでるだけの人生でいい」

 

そう思った。

誰にも見えていない部分でも参加しなければいけない。

もしかしたら、うまく回っているように見えるチューチュートレインも後ろには何百人もじっとしゃがんでいるのではないか。

 

そんな事を考え、理想に想いを巡らせて作った。

 

絶対、こんなはずじゃなかった。

 

 

8枚目のアルバム『31才のリアル』をリリースした。

 

daokoちゃんと大森靖子さんの力もあり、レコードショップ、iTunesともに大展開された。

電車の中吊り広告、転職サイトや新聞でもタイアップして頂いた。

 

レコードショップに挨拶に行くと店員さんに「こんな会社絶対に辞めてやるって曲めっちゃ共感しました!」と言われ、複雑な気持ちになりつつ喜んだのを覚えている。

仕事はなかなか思う様にはいかないけれど、音楽活動は順調だった。

 

そして、このアルバム以降、面識がなくても、良いと思った人を積極的に客演に招くという勇気を貰えた。

常に高いアンテナを張り色々なジャンルを見てみようと思った。